効果が上がる!コールセンター実践型スーパーバイザー研修
効果が上がる!コールセンターの実践型スーパーバイザー研修
コールセンターのスーパーバイザー(SV)が持つべきチカラ。
その理想の会話(応対)をつくるため、
SVに必要なチカラとして、
「聞き方」「伝え方」が求められる、と説明しました。
今回は、「聞き方」「伝え方」にフォーカスした、実際のSV研修の内容をご紹介したいと思います。
当社boosterのコールセンターにおけるSV(スーパーバイザー)の「聞き方」「伝え方」に関する研修の一例は以下のとおりです。
<boosterのSV研修 「聞き方」「伝え方」に関する研修(一例)>
【SV研修共通】コールセンターにおけるSVの役割、位置付け、意識や行動
【聞くチカラを磨く】顧客視点のアンテナを磨く【体験学習】
【伝えるチカラを磨く】SVはよき伝道者であれ【体験学習】
【聞く・伝えるチカラを磨く】モニタリング+フィードバック【体験学習】
コールセンターによって、SV(スーパーバイザー)に求めること、責任範囲、具体的な日常業務は大きく異なるため、センターによって学習コンテンツは様々です。ただSVの役割や位置づけ、心構えはすべてのベースとなるため、共通して学習します。
SV(スーパーバイザー)とはコミュニケーターの延長としての「応対が上手な人」ではなく、まったく異なる役割を負っていることを伝えます。なかでも、センターの方針の「伝道者」であること、コミュニケーターはSVの影響を最も受けやすいことなどをしっかりと学習します。
そのうでSVに必要な具体的なスキルの学習へと移ります。
SVに必要なスキルは座学だけでは身に付くものではありません。SVに必要なスキルのうち、根幹をなす「聞くチカラ」「伝えるチカラ」は、実際の演習を通して習得してもらう実践型体験学習を取り入れています。
<聞くチカラとは>
SVは、お客さまとコミュニケーターの通話を聞く際、「あそこができている」「ここができていない」という管理者視点の聞き方だけではいけません。
「お客さまはどう感じているか」「期待に応えることができているか」「期待に応えるためには何か不足しているのか」という点に集中しながら応対を聞きます。
日常、管理者視点やコンプライアンスの視点でばかりコールを聞いているSVは、その応対の本質的な部分を聞き飛ばしてしまっているケースが少なくありません。
先日SVと一緒にランダムに音声を確認していたとき、こんなことがありました。その音声は、高齢のお客さまからの商品注文のお電話でした。
言いたいことがなかなか口から出てこなく、焦りながらも商品番号やお届け日がスムーズに回答できないでいたときに、コミュニケーターは声をかけることもなく、冷たい雰囲気のまま会話を届けていました。
その後、口を開いて、ややきつめの言い方で「お客さま〜、ご家族の方はいらっしゃいませんか?少しお声が遠いようなので、他の方からお電話いただいたほうがよいのはないですか〜!」と声をかけました。
そのお客さまは高齢の旦那様とお二人暮らしとのことで、そのまま会話は継続されました。その音声を確認した後、SVは「あそこでご家族さまからの入電が可能か確認したのはよかったですね。
ただ、そのときの言葉遣いは適切ではなかったので修正すべきですね」と感想を述べました。お客さまの身になった対応を目指すならば、指導すべきポイントはそこではありません。
高齢のお客さまへの応対は時間がかかってしまうことも多いですが、安心してご注文いただき、いつでも気兼ねなくお電話をしていただくために、コミュニケーターはできることを探し、声をかけるべきだったでしょう。
SV(スーパーバイザー)は常に生産性を求められているので、そのように考えるのは難しいかもしれません。ですが、「感動レベル」の応対を追求し、「お客さまを自分の家族だと思って応対する」というのであれば、生産性よりも大切にすべきものがあります。
この事例はやや極端でしたが、SVのコールを聞く視点が管理者視点に傾いていることが多いため、顧客視点でコールを聴く力を養う必要があるのです。
ー聞くチカラを磨く」研修の具体例ー
研修ではモニタリングの重要性を共有した後に、同業社や自社ではなく、一般的になじみのある業界(金融や通販など)へのミステリーコールの音源を聞いてもらいます。
ミステリーコールはお客さまからの問い合わせ内容が統一されているため、コールセンターの応対の違いによって、会話のゴールが大きく違ってくることがわかります。
音声は「望ましい応対」「残念な応対」を数本用意します。受講生には「コールセンターの管理者としてではなく、お客さまとして聞いてください」としっかりと伝えます。
数本の音声を聞いたあとに、お客さまとしての満足度をA〜Cで判定してもらい、その後、「うれしかった点」「残念だった・違和感があった点」をまとめてもらいます。その後、受講生同士のディスカッション、全体での共有をし、結果を整理します。
すると、語尾のびや誤った日本語に対する指摘ではなく、「感じがよかった、悪かった(事務的だった)」「お礼を言われなかった、たくさん言ってもらった」「話をよく聞いてくれた、私に関心がなさそうだった」などといった意見が出てきます。事務的で受け身の応対には厳しい意見が出ます。
このプロセスを通じて、普段の「あそこができている」「ここができていない」といったスキルにフォーカスした聞き方から視点の転換をすることができます。「お客さまはこうされるとうれしい」とか、「こうされるとイヤ」みたい、という気づきを得るのです。
<伝えるチカラとは>
コミュニケーターとSV(スーパーバイザー)の大きな違いとして、コミュニケーターは電話でお話をするプロですが、SVはその会話のプロを育てることが仕事です。そのことを始めに伝えると、「会話のプロフェッショナルを育てるのが仕事」とは考えたことがなかったというような反応がかえってくることもしばしばです
電話で会話をするにあたって、コミュニケーターはお客さまと向き合う応対姿勢や方針を充分に理解していることが大切ですが、SVはよき伝道者として、日々、それらを伝え、拠り所として信じさせることが必要となります。
伝える力の一番身近な場面は朝礼・夕礼などです。センターで朝礼などに立ち合うこともありますが、
・その場を大切に考えていない
・自らの言葉がコミュニケーターに与える影響を考えていない
・準備不足で言いたいことが伝わらない
・短い時間しかないことを理由に早口で話す
「抑揚を大切に」と指導しているのに、自らが一番無機質でつまらなそう話しているといったSV驚くほど多いのです。
しかし、もちろん、温かく、熱意を込めて、限られた時間を最大限に有効活用するSVもいますが、残念ながら割合でいうと半数以下かもしれません。朝礼や幽霊などで考えを伝えるということは、SVになったらいつの間にかできるようになるわけではなく、やはりセンターで管理者育成の一貫として指導することが必要になります。
ー「伝えるチカラを磨く」研修の具体例ー
前回、伝えるというのは小さなプレゼンテーション、という話をしました。「伝えるチカラ」を磨く体験学習では、あらかじめプレゼンテーションのテーマを設定して、事前準備の時間をとり、研修当日は発表の場とします。
テーマは様々です。例えば、『センターのミッションや行動指針を伝える』『モニタリングの大切さ、項目(応対方針)を説明する』『コールセンターのお客様へのお役立ちを伝える』など、知識系の周知事項などではなく、コミュニケーターの共感を得ることが必要になるテーマを設定します。
その際、必要であれば、伝える道具を準備してきてもらいます。一番わかりやすいのは、パワーポイントなどで作成した資料ですが、コミュニケーターの関心を引きつける内容にしないとしっかりと聞いてもらえません。
そのため、「寸劇、歌、紙芝居など、遊びのようなもの大歓迎」としています。研修当日の発表では、参加者人数分の個性あふれるプレゼンテーションが繰り広げられます。
管理者はコミュニケーターの気持ちになって各人の発表を聞きますが、惹きつけられるもの、そうではないもの、「???」がつきまとう説明、つまらないもの、心を震わせられるものなど、さまざまなプレゼンテーションを聞きながらそれらを通じて伝えられメッセージの質に向き合うことになります。
複数回の研修の場合は、その気づきをもとに、プレゼンテーションを再考し、次の回に改めて発表をすることもあります。そこまで実践で学びを深めると、少し前の発表とは見違えるような仕上がりとなります。
いずれも、「聞くチカラ」「伝えるチカラ」の重要性を理解し、それらをコールの現場で活用できるように実践学習を行います。研修はあくまでもきっかけづくりですが、その後ご自身で伸ばすべきポイントをつかみとっていくSVが多いようです。
コールセンター業界の傾向として、「SVはセンターの要」という共通認識がありますが、管理者育成になかなか時間をかけられないのは残念なことです。センターの継続的な成長を望むなら、SVを含めた管理者を育てることが最も近道であり、避けて通ることが出来ません。
現在のSV(スーパーバイザー)の行動をこのような視点から丁寧にウォッチすると、足りていない部分が明確になり、教育の方向性が整理されるでしょう。
参考になりましたか。
コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳
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コールセンターの要であるスーパーバイザーへの研修は、センターの実情に合わせて柔軟にカスタマイズした研修カリキュラムをご提供します。「わかる」を「できる」に変える実践型トレーニングです。
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モニタリングとフィードバックの目的を理解し、より高精度な活動に変化させることを目指した実践的な研修です。コールセンターの実情に合わせて柔軟にカスタマイズ可能、体験学習が6割を超える実践的な研修で、課題を見極める力を養います。