コールセンターの解約時の電話応対は実に重要です。

コールセンターの解約時の対応はいずれ回帰客となる?

当社では日常からさまざまな企業へのミステリーコールや、クライアント様の録音コールのモニタリングを通じて、コールセンター業界のトレンド最新動向を研究しています。

当社スタッフが自宅で一般の消費者として実際にかけた電話や、かかってきたアウトバウンドも可能な限り自ら録音してチェックしています。こうしたコールは、業務として携わるのとはまた違った気づきを与えてくれます。

少し前になりますが、スタッフが化粧品の定期購入を解約するというので、その電話を録音しました。このスタッフは化粧品の定期購入を始めて少したったところだったのですが、肌につけたときの感触や香りがイメージと違ったため解約を決めました。

何か大きな不満があったわけではないので、解約の手続きだけをするつもりで軽い気持ちで電話をかけたところ、意外な反応が返ってきたそうです。「定期購入は3カ月間継続することになっている」と強い調子で言われ、解約の理由を質問されたうえに、どうにか継続させようと長々と商品アピールをはじめたそうです。

確かに、ホームページ上には定期購入の前提として、「原則的に3カ月の継続をお願いしております」とありましたが、お客さまにはいろいろな諸事情があるものです。配送予定日の直前でもなく、そんなに無理な話ではないと思っていたので、そのスタッフは大変驚いたとのことでした。

最終的には定期購入の解約ができましたが、この会社への印象は非常に悪くなったといいます。

また、その話には続きがあり、スタッフがそのことを地方(熊本)に住む親戚に話したところ、偶然にも親戚も同様の経験をしたとのことです。そこでは、「その分、初回に安く購入したので、初月の定期解約は難しい」の一点ばりだったそうです。

ちょうど熊本地震の直後だったこともあり、「熊本在住なのですが、いま少し環境が慌ただしくて・・・」と解約の交渉を続けてみたところ、「・・・・(それがなにか・・・?)」との冷たい反応だったらしく、その会社への怒りは相当大きいものだったそうです。

この例に限らず、定期購入の解約をするお客さまは、必ずしも商品に強い不満を抱いているわけではありません。たまたま、何かの原因で不満を感じて解約する方もいますが、一度解約をしたけれど、再び元の商品に帰ってくるケースも実は多いのです。

しかしながら、「解約がしにくい商品(会社)」という印象がついてしまうと、再度の購入には二の足を踏んでしまうでしょう。それどころか、悪い口コミにつながる危険すらあります。現に、先ほどのスタッフは親戚と電話で盛り上がったあとにネットで検索をしたら、同じような経験をした人の書き込みが見つかったとのことでした。

お客さまは解約の際、心のどこかで申し訳ないような気持ちを感じている方も多いものです。「何か不都合がありましたか?」などと解約の理由をうかがい、「またぜひお待ちしております」と気持ちよく解約の手続きをしていれば、お客さまの回帰率はかなり違うのではないかと想像されます。

解約は「そこで終わり」ではありません。将来の可能性をゼロにしないためにも解約のときこそ、お客様の話に寄り添い、最善の対応を心掛けたいものです。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

インバウンドの「会話」を磨くことによって、顧客満足度の向上とビジネス貢献を同時に実現する応対を目標に、スクリプトの見直しや電話応対研修を実施。最も効果的な会話づくりを目指します。

コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。弊社では、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。