コールセンターのバランスの良いモニタリング指標とは

1.モニタリング指標の重要性

コールセンターの品質管理において、電話応対におけるモニタリングの内容は非常に重要です。

すでにモニタリングはセンターの応対品質の拠り所となり、コミュニケーターも管理者もモニタリングの結果を意識しながら業務にあたっています。

そうした重要な位置づけであることは理解しているものの、実は現在のモニタリング指標に違和感を抱いているご担当者さまは多いのではないでしょうか。

また、昨今、AIやオンラインによるサポート技術が急速に進化してきていますが、新しい技術が導入されればされるほど、そこで解決できなかったお客さまが電話窓口を頼ってくるようになりました。

問題発生から時間が経過している際は、以前よりもお客さまに寄り添った、より親身で迅速な対応が求められています。

さらに、比較的購買行動が盛んなシニア層のさらなる高齢化が進んでいることから、電話窓口が今一度見直されている企業も多いようです。

こういった環境変化により、さらなる品質向上が追求されてきている背景もあり、ここ数年において弊社でも、それまで以上に品質関連のコンサルティングや研修を承るようになりました。

2.上質な電話応対に欠かせない4つの要素

私たちは、上質な電話応対をつくるには以下の4つの要素がどれも不可欠だと考えています。

スキルとは、
電話応対に必要な技術(スキル)を指します。お客さまにとって聞きやすく、また感じのよい話し方に必要なやり方やテクニックで、挨拶や声の出し方、言葉遣いから始まり、傾聴や共感も含みます。そのなかでも、「感じのよさ」を作り上げる技術が特に重要です。

トークとは、
会話の内容を指し、「説明の流れ(構成)」、「わかりやすさ」「商品・サービスの魅力」「気遣い」などです。どんなに話すスキルがあり感じがよくても、会話内容の質が低いと、お客さまには満足していただけません。

スクリプトによる標準化はここに属します。ただ、いくら精度の高いスクリプトが存在したとしても、やはりコミュニケーターが考えながら話す部分は存在するため、その説明の精度を磨くことも求められます。

マインドとは、
電話応対者の、お客さまへの向き合い方や仕事そのものに対する姿勢を指します。

お客さまに対して「お役に立つ姿勢」「親身や親切な姿勢」「お客さまの思いを察する気持ち」や、仕事や企業に対しての「1件1件のお問い合わせを大切にする姿勢」「収益や事業に対する貢献の姿勢」などもここに値します。

知識とは、
商品・サービスや手続きに関する知識です。お客さまからの質問に対応するにあたって必要な知識を有しているか。正確性とともに、お客さまのリテラシーに合わせた対応が求められます。

この4つの要素のすべてが必要な理由としては、

1)の要素
話すスキルが優れており、いくら感じがよくても、話している内容がさっぱりわからなければお客さまは不安になることでしょう

2)の要素
トークがよく、いくら説明がわかりやすく、魅力的でも、事務的で冷たく、早口で話されてしまっては理解が滞ることでしょう

3)の要素
一方、スキルもトークも優れているけれど、どこか距離感があって、お客さまへの関心が薄いと感じられる応対は、杓子定規な印象につながるかもしれません

4)の要素
知識については、コールセンターで電話を受ける以上、お客さまを不安にさせてしまうようではいけません

このように、どれが欠けてもお客さま満足は達成できないため、すべてをバランスよく磨くことが必要なのです。

3.スキル中心のモニタリングシート

ここでモニタリング指標に話を戻しましょう。

これまで数多くのモニタリングシートをみてきましたが、これらの4つがバランスよく収録されているケースはごく稀です。

多くの場合は、上述のスキルが中心となって構成されています。

それらを用いて定期的なチェックやフィードバックをしているということは、技術(スキル)面に偏った活動をしていることになります。

その結果、トークやマインド、知識面の品質管理は手薄になってしまいます。

また、スキルを細かく分けすぎているケースも多いように感じます。

例えば、「クッションフレーズは使えているか」といったものが一項目として設定されていることがあります。

クッションフレーズはお客さまとの柔軟な会話運びの上で非常に有効なテクニックですが、果たして必ず活用するべきものでしょうか。

項目として設定するということは、使えていなければ低い評価になるということです。

ですが、「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」といったフレーズがなくても、お客さまにマイナスの印象を与えるとは思えません。

たとえ使えていなくても他の部分で気遣いが感じられればそれでよいのではないでしょうか。

これは一例ですが、マナーに対して厳しい評価基準を定めて管理しているセンターは多くあります。

もちろん、マナーは良いに越したことはないですが、それよりも、説明されている内容がわかりづらいことがあれば、それはダイレクトに不満足に直結します。

こうしたことから、やはりマインド/スキル/トーク/知識のバランスを意識したモニタリング指標を設定することが大切なのです。

4.バランスのよいモニタリング指標

モニタリング指標と連動した教育は両輪として必要です。

スキル面は定期的なモニタリング+フィードバックや研修でフォローをしているものの、トークについてはコミュニケーター任せであったとするならば、それらについて体系化された実践教育をすることをおすすめします。

会話には流れ(段取りや構成)があること、ひとつひとつの説明においても精度があることを教え、それらを磨くための実践学習が必要なのです。

トークについての教育を受けたことがないコミュニケーターは「そうか!話す内容はこのように考えるべきものなのか!」と目を輝かせることもしばしばです。

5.まずはモニタリング指標の振り返りから

いかがでしょうか。

現在のモニタリングシートの各項目をマインド/スキル/トーク/知識の4つの要素に分類してみると、そのバランスがみえてくるかもしれません。

まずは、そこから検証をしてみるのはどうでしょうか。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

弊社では、品質調査/品質管理サービスを通じて応対品質の維持・向上をお手伝いしています。企業視点とお客さま視点の双方を兼ね備えており、独自の観点によってセンターに必要な品質レベルを見極めます。

モニタリング・フィードバック業務をアウトソースしていただけます。応対品質の向上に向けて、丁寧かつきめ細かくご支援いたします。