コールセンター応対でのお客さまの「真のニーズ」とは?
1. お客さまが口にするのは「氷山の一角」
インバウンドのコールセンターの場合、お客さまは様々な理由で電話をかけてきます。では、お客さまが「何を望んでいるか」をしっかりと把握できているでしょうか。
もしそう聞かれたら、ほとんどのコールセンターの担当者の方は、「お客さまは『〇〇の件で…』とおっしゃるから、よほど込み入った件でない限り、お客さまの用件は把握できている」と答えるでしょう。確かにシンプルな受け答えで完結するお問合せも多いと思います。ですが、お客さまの口から出ている用件が必ずしもお客さまの望んでいる内容と一致するとは限りません。なぜなら、お客さまは本当に望んでいることをダイレクトに口にするとは限らないからです。
「お客さま本人がそれほど大事だと認識していない」「なんとなく言いづらい」など、お客さまが本当に望んでいることを口にしない理由は様々ですが、テクニカルサポートなどでよくあるのが、お客さま自身が目の前の課題だけについて話されて、本当に解決したいことを相談してこないケースです。
2.お客さまが本当に望んでいたこととは?
あるパソコン全般のお困りごとをサポートする有償コールセンターの事例では、お客さまから「〇〇というソフトをインストールしたいが、設定がうまくいかない」というような相談がありました。そのソフトの設定は確かにサポートセンターの力を借りないと難しいものでした。担当者はあらゆる資料を調べて解決方法を探ったのですが、他のソフトとバッティングをしているのかなかなかうまくいきません。
担当者はお客さまにパソコンを操作していただきながらサポートをしていたのですが、お客さまからふと、「困ったな…明日までにサンプルの動画を確認しておかないといけないのに…」というつぶやきがあったのです。それを聞いて、「つまり、動画がご覧になりたい、ということで〇〇というソフトでなければならない、ということではないのですか?」と質問をしたところ、動画が見られれば何のソフトでも構わず、〇〇というソフトを選んだのはインターネットでたまたま上位に検索されたからとのことでした。そこで、担当者は一般によく使われる動画ソフトのインストールに方針を切り替えてサポートしたところ、すぐに解決したそうです。
3.「真のニーズ」を引き出すことが顧客満足と効率化につながる!
このようなケースは、お客さまのリテラシーが低いから起こるとは限りませんし、もっと言うとテクニカルサポート系のコールセンターだけの問題でもありません。 私たちは、このようなにお客さまが本当に解決したいことを「真のニーズ」などと呼び、それらに対するコールセンターの応対力をみています。
まの「真のニーズ」を捉えることができなければベストな解決方法を提供するのは難しいのはどのコールセンターでも同じです。逆に言うなら、お客さまの「真のニーズ」を引き出し、共有できさえすれば、お客さまが質問した内容を直接解決しなくてももっとシンプルで有用なアドバイスができる場合があるのです。
したがって、お客さまの抱える課題にベストなアドバイスをするには、まずはお客さまが「本当は何を望んでいるのか」を把握することが必要です。インバウンドのコールセンターではお客さまの言った用件を繰り返して確認する「用件確認」のシーンがありますが、場合によっては一歩踏み込んで「今回は◯◯とのご質問ですが、どうかされましたか?」などと問い合わせの背景やご事情を質問するのも良いでしょう。
いかがでしょうか。お客さまの「真のニーズ」を把握し、それに対して的確な回答によって、一度でお客さまの課題が解決できれば、お客さまの満足度が上がるだけでなく、再度お電話をいただくことも減り効率も上がるでしょう。もし、同じお客さまから二度三度と問合せをいただくケースが頻発しているようであれば、お客さまの「真のニーズ」に対応できているか、検証してみるのも良いかもしれません。
コールセンター・コンサルタント 古館良子
サービスのご紹介
コールセンターの応対品質を覆面調査により把握します。自社のセンター調査だけではなく、同業他社との比較をすることで、業界全体の動向も把握することが可能です。
コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。市場通信では、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。