ちょっとした心遣いで大きく変わる電話応対

お問い合わせや確認など、お客様が何度も電話する必要があるコールセンターでは、どのような対応をコミュニケーターがするのが、いいのでしょうか。電話をするお客様は何回もすると「しつこい」と思われるのではと変に気を使う人もいます。

そうした懸念を払しょくする一言が、
"お電話ありがとうございます。"という言葉です。今やあまり電話をしない時代に、いろいろ聞きたくて電話して頂けるお客様は企業にとって「非常にありがたいお客様」です。そういう感謝の言葉が自然に何回も出たとしても、会話としておかしくはありません。

電話する方はというと、この"お電話ありがとうございます。"で、非常にかけやすくなるものです。

しかし、コミュニケーターの方は、この言葉が中々出てきません。単にお電話に出た時に、"ありがとうございます。"と感謝の気持ちを込めて言えるかどうかです。

でも、これは、コールセンターの仕事の時だけ心掛けるよりも、普段の日常生活でもそう思い、普通に言えるようにする方が、コールセンター現場でもスムーズに出るので、そうしたいものです。

今回は、このように「ちょっとした心遣いで印象が大きく変わる」電話応対をするには、どうすればいいのかを少し解説します。

一般的に「電話応対の品質向上」というと、どうしても難しいことばかり連想されます。センター全体のレベルアップにはそれ相当の努力が必要ですが、ちょっとした心遣いだけでもお客さまの印象を大きく変えることができます。

1)自ら名乗る
登録や購入受付など、電話応対ではお客さまの個人情報をいただく機会は多いもの。間違いなくスムーズに伺うことは必須ですが、その際に、「わたくしは○○と申しますが、お客さまのお名前をお伺いできますか」などと、自ら名乗ってからお名前を聞くと丁寧で礼儀正しい感じになります。

お客様に気持ちの良い電話となる第一歩です。

昔から、「人に名前を尋ねるときは自分が名乗ってから」などと言いますが、当然、電話での会話も同じです。

時には、入電の最初に用件を確認したあと、改めて「◯◯ということですね、かしこまりました。私が◯◯と申します。これから担当させていただきますので、改めてよろしくお願いいたします」と伝える場合もありますが、これも非常に心象がよくなります。通話時間が比較的長いサポートセンターなどで有効です。

2)お名前で呼びかける
お名前を伺ったあと、お客さまそれぞれのお名前で呼びかけます。こうすると、その他大勢のお客さまでなく、その方に対して対応している印象が強くなります。具体的には、「お客さま」ではなく「○○様」と呼びかけます。

これは、実施しているセンターもあるかと思いますが、あまり厳しくルール化すると、どんなときでも「○○様」と呼びかけなければいけなくなり、却っていやらしい感じがします。

また、あるセンターでは、「お客さま」と呼びかけるとモニタリングで減点するという決まりになっていたため、コミュニケーターがお客さまにまったく呼びかけないようになってしまいました。

お名前で呼ぶ方が印象は良いですが、お名前で呼ばないと減点する、会話の中で呼びかける回数を数えるなどとすると、本来の主旨から離れてしまうので、注意が必要です。

3)季節のあいさつを入れる

電話の用件が終わると、緊張から解放されるためか、そそくさと電話を切ってしまうコミュニケーターがよく見られます。応対内容はとても良いのにちょっと残念な印象を残してしまうこともあるのではないでしょうか。

また、不明点の確認やクロージングではすでに後処理に入ってしまって、心ここにあらずといったシーンも見受けられます。

そんなとき、用件が済んだあとに季節のあいさつを一言入れると会話の最後にお客さまの印象をぐっと良くすることが可能です。

終話の印象は会話全体のイメージに大きく影響しますので、お客さまに「感じのよい応対だった」と思ってもらえる効果があります。

通話時間が長くなるほどだらだらと話す必要はありません。ほんの一言添えるような感覚で十分だと思います。

例えば「急に寒くなりましたが(暑い日が続きますが、等)、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください」などのトークです。

実施する場合、コミュニケーター自信に考えてもらうのは難しいので、季節ごとにいくつかトークを用意して、練習すると良いでしょう。

いずれもちょっとしたことばかりですが、お客さまが「自分は大切にされている」と感じるような内容ばかりです。少しの労力でお客さまの印象アップの効果を見込むことができるので、いちど試してみてはいかがでしょうか。

ご参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

「感じのよい応対」を目標として、学習効率の高いカリキュラム。「わかる」を「できる」に変えるため、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れた実践型の研修です。

クレームに直面したときに落ち着いて対応するためのオリジナルのサポートツールを用いた研修です。クレームの傾向をヒアリングしたうえで対応方法を検討し、研修内容をご提案します。