コールセンター等電話応対は管理者の考え方が出てしまう
販社/販売店、店舗にかかってくるお客さまからの電話、どのように対応していますか?
これらのテーマについては以前のコラム1&コラム2でも詳しく触れていますが、販売店や代理店などにかかってくるお客さまからの問い合わせは営業の大切な機会です。
しかし、その場面を有効に活かせていないことが実に多いようです。
お客さまとの電話応対を見直すとき、まずは現状を把握するために、そのプロジェクトの担当の方と一緒に録音された通話を聞くところからスタートをします。
コールセンターとは違って、お店とお客さまとの通話を聞く機会は滅多にないため、プロジェクト担当者にとってはとても新鮮なようです。
一方、クライアント担当者にとっては日常業務で何気なく耳にしている電話のやりとりですが、お客さまとの両方の声が入っている音声を聞いた時に、イメージしていたものと違ったという感想がをよく聞きます。
もう少し電話応対者が良い応対ができていると思っていた、なぜそんな基本的なこともできないのかとがっかりされることもしばしばです。
つい電話に出た人が、何かが足りていないのかという議論に話が及びますが、本当に電話に出たその担当者に原因があるのでしょうか。
電話応対者に研修を施せば改善できるものなのでしょうか。実は応対品質はそんなにシンプルなものではありません。もっと奥深いところに原因や課題があることが多いのです。
1.電話応対は管理者の考えを映す鏡?
先日、あるクライアント様において店舗における電話応対 品質調査を実施し、当社boosterがお客さまとなって、全国各地にあるお店にミステリーコールをしました。
お客さまの問い合わせシナリオは頻度の高い問い合わせを元にしたもので、『そちらの◯◯(商品)ですが、別のお店で買ったものなんですが、少し調子がよくないので、持っていったら見てもらえますか。』といった内容でした。
それに対するお店の対応は実に様々で、当初の想定よりも店舗ごとの違いが大きく出る結果となりました。
A店「ご連絡をありがとうございます。購入いただいたお店でなくてもメンテナンスや修理は承っていますので、ぜひお持ちいただけますか。」
B店「はい、もちろん大丈夫ですよ!」
C店「えー、一応みることはできますけれども、、、(黙る)。」
D店「はぁ(↓)、そちらはいつ頃にお求めになったものですか?」
A店、B店は受け答えも回答もポジティブで安心できるものでした。一方で、C店、D店においては、見ることはできなくはないが、決してウエルカムではない様子が伝わってきます。
お客さま役として録音した担当者に感想を聞くと、C店の「えーと、一応みることはできますけれども、、、。」と黙ったあと、一体何が言いたかったのか。
D店では購入時期を聞かれたので答えたものの、その回答は完全にスルーされ、なんのためにその質問をされたのかがわからなかったと言います。同じサービスを展開しているはずなのに、なぜ、このように差が出てしまうのでしょうか。
その後、細かく分析をしていくと、A店とB店は同一のオーナーが経営するお店だということがわかりました。
また、C店とD店はいずれも後ろ向きの対応でしたが、こちらの2店はいずれもA,Bとは異なる系列のグループに属していることが判明しました。
こうなってくると、応対の質を決めるのは電話に出た担当者個人のスキルだけではなく、それらを管理する組織や責任者の意識や方針が影響していることが推測されます。
クライアント担当者の見解では、C店/D店を運営する組織では売上になりづらいメンテナンスや修理よりもできれば新規のお客さまに時間を割きたいと思っているのかもしれません。
もしくは他店のお客さまは、自分たちの顧客ではないという認識なのでしょうか。そういった脈々と存在する接客に対する考えが、電話に出た担当者の受け答えについ表れてしまうのです。
このように、電話応対の品質向上を目指すときには、現在の応対品質のレベル感を知るとともに、マネジメントレベルで何が影響してその応対が生まれているのかを探っていくことが重要となります。
2.電話応対強化プログラムの流れ
ここで当社の提供する「電話応対強化プログラム」の流れをご紹介しましょう。
1)電話応対 品質調査
ここでは現在の電話応対の状況を確認するため、ミステリーコールや録音された音声をもとに品質レベルや課題の整理をします。また、合わせて、クライアント様が考える理想の応対を共有しましょう。
2)教育の設計
電話応対の品質向上にむけて、どのようなプロセスで、誰に何を教えるのがベストか。それらをを議論し、教育の方針を決定します。その後、具体的な研修カリキュラムを作成しましょう。
3)管理者向け説明会/研修
一連の取り組みや研修効果を最大化するために、研修と現場の管理者からの指導を連動させるため、管理者向けの説明会や研修を行います。
4)電話担当者向け 電話応対研修
電話応対者には、「その1本の電話応対の価値」から始まり、「電話応対の品質とは」、さらに品質向上に必要な考え方や技術を実践的に学ぶための研修を実施します。
5)フォローアップ プログラム
これらの活動を一過性のイベントに終わらせず、しっかりと成果に結びつけるためには、その後のフォロー教育も重要となります。企業の風土や事情に合わせて各種のフォロープログラムを設計、展開しましょう。
3.電話応対を磨くことは誰もが嬉しい
いかがでしょうか。一見すると大変そうなプロセスに思えてくるかもしれません。しかし、電話応対の品質を決めるのは担当者個人のスキル(技術)だけではなく、管理者や経営方針など、より根深い問題が関わってくると、こうした改善プログラムが有効となります。
こうしたプログラムの実施によって電話応対の質を磨くことの効果は多くあります。
まずは、お客さまは気持ちのよい応対を受けることができ満足していただけます。二つ目に担当者はお客さまからの温かいフィードバックを受け取り、やりがいにつながります。
その結果、三つ目として、電話応対者のモチベーションや積極的な働きかけの結果として実績があがる、というプラスのスパイラルに繋がってきます。
電話応対品質を磨くには、現場担当者の「技術」を磨くだけでは限界があります。会社やお店全体が一丸となり、管理者の理解や意識の改革など、より深いレベルでの取り組みも実施することで本当の品質改善につながると言えます。
参考になりましたか。
コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳
サービスのご紹介
boosterのコールセンター現状診断は、応対品質のみならず、運営面における課題も把握し、顧客満足と事業貢献を両立するコールセンターづくりをお手伝いします。
覆面調査により応対品質を把握します。自社のセンター調査だけではなく、同業他社との比較をすることで、業界全体の動向も把握することが可能です。