コールセンターの電話応対で克服しづらいスキルは?

前回のコラム「コールセンターでの敬語克服の後の電話応対スキルとは」では、【電話応対の本質的な課題】と【お客さま満足の観点からの学習計画】、それに電話応対での【速いスピードのデメリット】について述べました。今回はその続きとして、『話すスピード』について、解説します。

1.最も克服しづらいスキル

モニタリングチェックをしていると、「話すスピードが速い」と指導をすることが実に多いものです。

多くのコミュニケーターは意識をしているにもかかわらず指摘されること多いのは、スピードが克服しづらいスキルだからです。

早口になってしまう原因を考えてみましょう。


それはいくつもあります。

コミュニケーターはお客様に伝えなくていけないことがたくさんあります。そのため、つい会話を先に進めることに意識が働きすぎてしまって、その結果、スピードが速くなるのです。

お客様からと、冒頭から何か長文の文字を延々と読んでいるような、そんな感触を受けることがあり、伝えようとする内容が頭に先方に残らず、理解できないまま嫌悪感につながることもあります。

そうすると、そのお客様の感触をキャッチしたコミュニケーターは、どんどんトークが早くなり、ついにコール自体が成立しなくなることが多々あります。

また、効率を最優先しているセンターでは、目標の応答率を死守するため、ひとつの応対をできるだけ迅速に終わらせ、次の電話に出たほうがよいというセンターもあります。

お客さまとゆったり話すよりは、テンポよく話したほうが良いと思えてくるのでしょう。

コミュニケーターのなかには、会話のスピードをあげることで通話時間が短くでき、効率が上がると信じている方もいます。

実際は効率が上がるどころか、リスクが高いのです。

2.適切なスピードを知る

電話応対ではゆっくりと話すのが基本です。お客さまとはお互いの声のみで繋がっているわけですから、電話では、対面よりも話す速度を落とす必要があります。

普段の会話の1.5倍程度ゆっくりのつもり(あくまでもイメージ)で話をするのが目安です。

克服できない原因の一つに、「適切なスピード」がどのくらいなのか、自分では捉えづらいという点にあります。そもそもコミュニケーター自身がちょうどよいと、考えているスピード自体が実はとても速い場合もあります。

研修のロールプレイングの際は、コミュニケーター自身はゆっくりと話すように心がけていますが、さらに今よりも速度を落とすように指導すると、自分が考えている適度なスピードよりも遥かに遅いため、戸惑う方もいます。

そうした場合は、いくら「もっとゆっくり」と指導しても、「そんなにゆっくり話したら、お客さまをイライラさせてしまわないか」「おかしいんじゃないか」と感じるため、まずはその不安を取り除くことが必要です。

3.このように克服しよう!話すスピード

集合研修の場では、受講生と意見交換をしながら、どれくらいのスピードがよいのかを一緒に確認・検証します。

受講生や講師は目を閉じて、

お客さまの感覚で聞くようにします。

さらに、スピードが速いコミュニケーターに、

オープニングや商品説明のワンセンテンスを言ってもらいます。

その際、
1)いつもどおりの速さ 
2)1.5倍ゆっくりバージョン 
3)1.8倍ゆっくりバーション 
4)2倍ゆっくりバーション など、速度を変えてもらいます。

その後、受講生にどの速度が一番好みだったかを挙手してもらいます。そうるすと、コミュニケーター自身が違和感を持っていた2)や3)が選ばれることが多いのです。

スピードがものすごく速いスピードのコミュニケーターは、4)の2倍が一番人気になり、びっくりすることもあります。

前述では研修でのスピード学習の例をご紹介しましたが、ICレコーダーなどの録音機器を使って、いくつかのパターンを録音し、コミュニケーターと共にお客さま感覚で聞くことで、ちょうどよい話し方を確認することもできます。

また、ただ「ゆっくり」と言っても目安になるものがないため、「いつもより◯倍ゆっくりの速度」と数値化して覚えてもらうようにしています。

コミュニケーター自身が最適なスピードを捉え、納得することができなければ、いくら管理者がゆっくりと指導しても改善されることはなく、本人も苦手意識が高くなるばかりです。

少し丁寧すぎないようでも、ここまで導いてあげる必要があります。

それぐらい、コール自体の効果や効率に深く関係することだと思ってください。

電話応対のベーシックなスキル一つ一つは、実に奥深いものですが、笑顔とスピードが十分のコントロールできるようになると、コミュニケーター自身が会話を進めやすくなります。

様々な効果が期待できる「話すスピード」、一度見直しをされてみてはいかがでしょうか。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

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