コールセンターの敬語克服後の電話応対スキルとは?

コールセンターの敬語克服後の電話応対スキルとは、どういうものでしょうか。

1.コールセンターの電話応対の本質的な課題とは

boosterでは多くのコールセンター研修のご相談をいただきます。

研修カリキュラムを検討するにあたって、まずは今回の研修実施の至った背景や現在の課題をヒアリングします。

その際、センター運営のご担当者さまがよく挙げられる課題として、言葉遣いや話ぐせなどのマナーがあります。

ある健康食品のコールセンターさまとの打ち合わせでは、こんなことがありました。現在の課題をお伺いすると、「うちはお恥ずかしながら、言葉遣いの学習からスタートをしないといけないレベルです。」という内容です。

まずそこが改善されてから、その後の学習だと思っています。しかしながら 先日は、コミュニケーターがクロージングの前に『商品がなくなってしまう少し前にご連絡くださいね』と言うのを聞いて愕然としました。

健康食品を扱っている会社は、商品が「なくなる」なんて縁起の悪い言葉を使うことは言語道断で、残念ながらそのレベルなのです・・・」とのことでした。

確かに、その言葉よりも「商品の残りが少なくなってきたら、お早めにご連絡ください」のほうが適切かもしれませんが、それがどれほどお客さま満足に悪影響を与えるかというと、実はさほど心配のないことのようにも思われます。

むしろ、わざわざ気遣って、声をかけたことを褒めてあげるべきかもしれません。

センターを運営していると、どうしても「企業としてふさわしい応対」の観点から応対をチェックしがちで、言葉の誤りなどのマナーが気になることはよく理解ができます。

しかし、お客さま満足度調査では言葉遣いを少し間違えたからといって、それが気にならない程度であれば、不満足になることはないでしょう。

お客さまはそのようなことよりも、「私に関心をもって話をしてくれたか」「一生懸命、やってくれたか」「親身に接してくれたか」といった感覚で応対を振り返ります。それこそが、電話応対で磨きをかけるべきところです。

2.お客さま満足の観点から学習を計画する

コールセンターのコミュニケーターにとって、電話応対の学習の機会は意外と少ないものです。昨今、商品数の増加や法律、オペレーションルールが複雑になっていることから、知識系の座学研修に多くの時間を要します。

そのため、電話応対の育成に不可欠な話し方を学ぶ時間はわずかしかありません。限られた時間を有効に使うためには、言葉のメリハリを付けたり、取捨選択したりする必要があります。

加えて、言葉遣いやマナーよりも、お客さま満足に大きく影響する「電話での話し方」について優先的に教育をするのがよいと考えます。

私たちが提供する電話応対研修の最初の学びでは、「感じのよい応対」をゴールに設定しています。実際にはお客さまが電話を切ったときに、「あー、感じのいい人(会社)だったなー」と思ってもらえることが目標です。

その際、学習すべきテーマとして優先的に扱うのが電話応対のベーシックなスキル(技術)です。柔らかい会話の印象を作る「笑顔」や、理解しやすくゆったりした会話をつくる「スピード」、気持ちが伝わってくる「お礼やお詫び」、会話の印象に大きな影響を与える「オープニングやクロージング」などがそれにあたります。

3.電話応対での速く話すスピードのデメリット

電話応対における数あるスキルの中でも、「笑顔」の次に重要なポイントは、話す「スピード」です。会話の速度は品質への影響が大きく、早口な応対は想像以上にデメリットが多いためです。

速く話すのはよくないことは誰もが認識していますが、どれほどの悪影響があるのかついては理解は低いようです。私たちは数多くの品質調査をしているからこそ、それが様々な部分に強く影響を及ぼすことをよく知っています。

コールセンターの電話は、お客さまにとってはなじみのない、あるいは初めて聞く情報が多くあります。しかも、パンフレットなどの資料がない時に話しをする場合、お客さまに届けられるのは耳で聞く情報のみにな

こうした場合、話すスピードが速いと、お客さまは話の内容をしっかりと理解できないことがあります。ここで注意しなければならないのは、たとえぼんやりとした理解でも、お客さまはたいていの場合、「はい」「わかりました」「なるほど」とお返事をされるということです。

お客さまの理解度には注意が必要です。理解が浅いと、認識違いや手続きミスなどに直結してしまいます。また、セールスのコールの場合は結果にダイレクトに影響をします。

申込獲得を目的としている場合、速度に課題を抱えているコミュニケーターの販売率は低い場合が多いものです。お客さまからしたら、早口でまくしたてられるような案内では魅力も感じないでしょうし、この人のお薦めは自分本位で一方的だなと感じてしまうことでしょう。

またスピードが速いと、コミュニケーターの感情表現をうまく入れることができないため、終始淡々とした事務的な感じや、品のない印象を与えてしまいます。その結果、「会話の内容としては良いことを話しているのに、残念な応対」になってしまうのです。

この【最も克服しづらいスキルとしてのスピード】や【適切なスピードを知る】については、引き続き「コールセンターの電話応対で克服しづらいスキルは?」をお読みください。続編です。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

boosterの研修は、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れ、楽しみながらアタマとカラダで吸収することができるカリキュラムです。研修を検討した背景に着目し、明確なゴールを見据えた学習をご提案します。

コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。boosterでは、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。