お客さま応対トレンドとは
コールセンターはそれぞれの役割や目的に沿って運営されています。扱っている内容も千差万別ですから、「良いコール」「理想のコール」はセンターによって異なるものです。
しかしながら、そうした違いはありつつもコールセンター業界全体でみると、やっぱりトレンドは存在します。当社では、モニタリング、ミステリーコールを合わせると、各種業種や企業の実際の電話応対を、年間を通じて1000件を超えています。そんな中、ここ最近のトレンドを以下のように捉えています。
1.「型」にとらわれすぎず、コール本来の目的を尊重する!
以前は、お客さまとの会話の中で言葉遣いの間違いがあってはならない、というセンターは少なくありませんでした。
あいさつやあいづちなども含め、「型」にはまった話し方が良好とされ、間違いのない言葉遣い=失礼のない話し方、と考えられていました。ところが、お客さまの立場に立ってみると、「あのー」と1回言ったからといって、担当者の印象が悪くなるわけではありません。
むしろ、質問内容をウヤムヤにしたり、杓子定規な対応をされた方が感情を阻害するものです。
当社ではモニタリングを実施する機会も多いのですが、言葉遣いなどは1回2回の間違いをマイナス評価するというよりも、「常識的に失礼にあたらない程度」「会話全体として自然であればOK」などとするケースが増えています。
2.コミュニケーター個人の顔が見える!
コールセンターはいつ、誰が出ても安定した品質で応対することが求められることと、コミュニケーターはみな同じ教育を受けているため、1つのセンター内で驚くほど同じような話し方をする人がいることが多いものです。
同じような話し方、同じような内容、同じような配慮の仕方。
そうは言っても、お客さまとの会話は千差万別ですから、お客さまの気持ちが動いたり、お客さまのプライベートな話をうかがったりすることもあります。例えば、ある金融商品に関する調査を実施していたとき、こんなやりとりがあります。
お客さま
「この◯△という商品は、実は大学生の息子が勧めてくれたの。金融商品を息
子から勧められるなんて、思ってもみなかったわ!」
CM(コミュニケーター)
「さようでございますか!お子さんとそういう会話ができることは、うれしい
ことですよね。本当に心強いですね!」
お客さま
「そうなのよ。知らないうちに大人になっていたんだなぁ〜て...」
以前であれば、以下のような会話が主流でした。
お客さま
「この◯△という商品は、実は大学生の息子が勧めてくれたの。金融商品を息
子から勧められるなんて、思ってもみなかったわ!」
CM(コミュニケーター)
「さようでございますか。この◯△という商品の特徴をご説明しますと、〜」
と、着目すべきは◯△という商品であり、即座に商品の話題に移るのがスタンダードでした。ところが、最近ではこうしたお客さまのお話に対して、日常の会話と同じようにコミュニケーター自身の言葉で話すことがあります。
もちろん、あまりに逸脱すると生産性が下がるので、受注専門のセンターなどでは行っていませんが、それでも、お客さまへの共感を大切にする傾向は同じです。
より本質的なお客さまとの関わりに近づいてきている印象です。この二つに共通するのは、回答内容や会話の流れなど、センター内でのルールを守りながらも、ある部分ではコミュニケーターに自由度を持たせ人間味のある有機的な対応を目指すということです。
そのためには、センター側には守るべきラインを明確にすることが、コミュニケーターにコール本来の目的を達成するための知識と会話のコントロール力を、持たせることになります。
さらに、それが何よりお客さまのお役に立とうという意識と高いモチベーションを維持することにつながります。
どちらも簡単なことではありませんが、コールセンター全体が少しずつそうした有機的な方向へ向かいつつあると感じています。
ご参考になりましたか。
コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳
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boosterの研修は、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れ、楽しみながらアタマとカラダで吸収することができるカリキュラムです。研修を検討した背景に着目し、明確なゴールを見据えた学習をご提案します。
コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。boosterでは、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。