コールセンター 電話応対講座 AtoZ_05

用件の復唱確認とは

第5回目は、コールセンターで行われる用件の復唱確認のシーンに焦点を当ててみましょう。

お客様相談室などに電話した際に「本日は◯◯でよろしいですね」と行われる用件の復唱確認は、多くのコールセンターで採用されている標準的な方法です。このプロセスは、お客様の要望を正確に理解し、聞き間違いや誤解を防ぐのに役立ちます。

また、お客さまの側では、自分の話をきちんと理解されていると感じ、コールセンターへの信頼と満足度が向上します。

用件の復唱確認は、日本特有の手法でなくアメリカをはじめとする様々な国々のコールセンターでも同様に、顧客サービスの質を向上させるために用いられているようです。

また、正確な情報の把握は、スムーズな問題解決を可能にし、会話の手戻りの削減にも繋がります。このように、復唱確認は顧客満足度の向上、オペレーションの効率化、サービス品質の保持に重要な役割を果たしています。

実は、この動作にはコミュニケーターが必要な情報を慌てずに検索するための時間を確保するという重要な役割もあります。お客さまからの問い合わせに対応する際、コミュニケーターは即座に答えを見つけられないことがあります。そうした場合、用件を復唱することによって、お客さまを待たせることなく必要な情報を探すための余裕を得ることもできます。

近年、コールセンターの応対トレンドに変化が見られます。かつては形式ばった礼儀正しさが重視されていたものが、現在ではお客さまとの親密さを重視する応対へとシフトしています。その一環として、用件の復唱確認の後に、コミュニケーターが再度自己紹介を行ったり、お客さまを積極的にサポートする姿勢を言葉で伝えるコールセンターが増えています。私たちのコンサルティング業務でも、様々なコールセンターにこの「改めての自己紹介/応対への思い」を取り入れる提案を行ってきました。

実践ポイント!  

ポイント① 用件復唱をする場面

用件復唱は、オープニングの挨拶の後、お客さまが用件を話された後に行います。

①オープニング

②お客さまのご用件を丁寧に聞く

③用件を復唱確認し、理解が正しいかを確認する

④内容が誤っていれば、再度内容を確認する

⑤「改めての自己紹介/応対への思い」を伝える

⑥本題に入る

ポイント② 具体的なフレーズ一例

具体的なフレーズはシンプルです。

「復唱させていただきます。本日は〇〇の件についてのご相談ということでよろしいでしょうか。」
「ご用件は〇〇に関することでよろしいですか?」

などです。

このとき、「◯◯の件ですね」と用件を確認する際、お客さまの言葉を使用せず、社内用語に置き換えてしまうことがないようにしましょう。例えば、お客さまが引っ越しをして住所を変更をする際、金融機関などでは「通信先変更」という名称で処理を進めます。お客さまが「すみません、引っ越しをしたのでお電話しました」と申し出られた際、用件復唱で「本日は通信先変更でございますね」と確認しても、その言葉はお客さまにとっては馴染みがありません。「お引越しによる住所変更ですね。私どもでは通信先変更というお手続きで承っております。」とお客さまの言葉とその企業で使う用語のどちらもお伝えすることで、お客さまの安心感につながるでしょう。

ポイント③ 下がり口調にならないように

会話を通じて、前向きな印象や相談のしやすさを感じていただけるよう、イントネーションにも気を配りたいものです。「◯◯でよろしいでしょうか」の「か」の部分は下がり口調に話すよりも、ふんわり語尾をあげると優しさが感じられるものです。

ポイント  「改めての自己紹介/応対への思い」

最後に 「改めての自己紹介/応対への思い」 についてもフレーズの一例をご紹介しておきましょう。

例えば、

「改めまして、本日、ご案内をさせていただきます▢▢と申します。お客さまのお役にたてますよう努めますので、どうぞ よろしくお願いします。」

「それは大変お困りな状況かと存じます。本日、ご案内をさせていただきます▢▢と申します。迅速な解決にむけて精一杯お手伝いをさせていてただきますので、どうぞよろしくお願いします。」

「改めまして、私、◯◯と申します。今回のお困りごとについて、何か解決できることがないか、ご一緒に確認したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。」

などが挙げられます。

私たちはこの部分については、各コミュニケーターが状況に応じて自分でセリフを考えることを推奨していますが、スクリプトにいくつかのフレーズを準備しておけば、咄嗟に思いつかない場合でもスムーズに対応できるでしょう。

いかがでしたでしょうか。コールセンターの業務では、日々の忙しさの中で、応対を改めて見直すことが少ないかもしれませんが、用件復唱の存在意義ややり方について、一度振り返ってみるのはいかがでしょうか。今後の電話応対のヒントになれば幸いです。

株式会社 booster 石橋由佳

サービスのご紹介

boosterのコールセンター向け研修は、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れ、楽しみながらアタマとカラダで吸収することができるカリキュラムです。研修を検討した背景に着目し、明確なゴールを見据えた学習をご提案します。

コールセンターの「感じのよい応対」を目標として、学習効率の高いカリキュラム。「わかる」を「できる」に変えるため、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れた実践型の研修です。